はじめに
以前は自分で作った周波数不変のサイン波でFFT解析を行いました。
今回は音声データを用いてFFT解析を行っていきたいと思います。
音声データでは遂次周波数成分が変わっていくので短時間で区切ってFFT解析を行います。
それを時系列でプロットしたものがスペクトログラムとよばれ、今回はこれを作っていきます。
やっていきましょう
音声データの作成
今回はちゃんとスペクトログラムができているかの確認のため、音楽とかじゃなくて自分で作った音声信号データを用います。
フリーソフトのaudacityを使って下記の音声データを作成しました。
tone.wavというファイル名で書きだしておきます。
- サンプルレート44100Hzのモノラル信号
- 440Hz, 340Hz, 540Hz, 640Hzのサイン波を各1秒間続けて鳴らす
audacityは以下リンクからダウンロードできます
音声データのFFT解析
まず、音声データの読み込みから行います。
音声データの読み込み
wavファイルをnumpyで扱えるような形式で読み込む方法はいくつかありますが、Pysoundfileというライブラリを使うのが簡単なようなのでそれを使います。
import soundfile as sf import numpy as np import matplotlib.pyplot as plt filepath = "tone.wav" data, fs = sf.read(filepath)
これだけでdataに音声の波形データがnumpy array形式で、fsにサンプリング周波数を取得できます(モノラル音声の場合)
ステレオの場合は、dataが2次元行列になってます。
試しに波形データをプロットしてみましょう。
時系列データはdataのデータ数をサンプリング周期から作成します。
t = np.arange(0, len(data)/fs, 1/fs) fig, ax = plt.subplots(2, 2) ax[0,0].plot(t, data) ax[0,0].set_xlim([0, 0.1]) ax[0,0].set_title('440Hz') ax[0,0].set_xlabel('time [s]') ax[0,1].plot(t, data) ax[0,1].set_xlim([1.1, 1.2]) ax[0,1].set_title('340Hz') ax[0,1].set_xlabel('time [s]') ax[1,0].plot(t, data) ax[1,0].set_xlim([2.4, 2.5]) ax[1,0].set_title('540Hz') ax[1,0].set_xlabel('time [s]') ax[1,1].plot(t, data) ax[1,1].set_xlim([3.5, 3.6]) ax[1,1].set_title('640Hz') ax[1,1].set_xlabel('time [s]') plt.tight_layout() plt.show()
短時間フーリエ変換
取得した音声データを短時間ずつ区切ってFFT解析を行っていきます。
高速フーリエ変換を行いたいのでデータ数は2の累乗の値を使用します。
今回はN=1024とします。
音声データを時系列順に少しオーバーラップさせながらN個抽出し、
得られたパワースペクトルを行列に追加していきます。
オーバーラップ量は適当ですが、Nの1/4程度にしておきます。
コードは下記です。
from scipy import signal # fft N =1024 # サンプル数 window = signal.hann(N) # ハニング窓関数 # 高速フーリエ変換 st = 0 shift = N // 4 spec = np.zeros([len(data) // shift - (N // shift - 1), N // 2]) for i in range(len(data) // shift - (N // shift - 1)): st = i * shift x = data[st:st + N] * window F = np.fft.fft(x) freq = np.fft.fftfreq(N, d=1 / fs) # 周波数スケール # フーリエ変換の結果を正規化 F = F / (N / 2) F = F * (N / sum(window)) Amp = np.abs(F) # パワースペクトルの計算(振幅スペクトルの二乗) Pow = Amp ** 2 # デシベル変換 Pow = 20 * np.log10(Pow / (20 * 10 ** (-6))) spec[i,:] = Pow[:N // 2] y_max = 8000 fig, ax = plt.subplots() im = ax.imshow(spec.T, origin='lower', extent=(0, (st + N) / fs, 0, freq[N // 2 - 1]), aspect = ((st + N) / fs) / y_max, vmin=0, vmax=100) ax.set_ylim([0, y_max]) ax.set_title('Power Spectrogram') ax.set_xlabel('time [s]') ax.set_ylabel('Frequency [Hz]') plt.tight_layout() plt.colorbar(im) plt.show()
結果はこちら。
1秒きっかりで切り替えられなかったので若干のずれはありますが、作成した音声データと同じ周波数帯に1秒ずつピークが移り変わっている様子がわかると思います。
ちゃんと意図する周波数成分を拾えてるので実装に間違いはなさそうです。
FFT解析の方法については割愛しますので下記を参照ください。
また、imshowによる描画の方法も過去にまとめてますので、そちらを参照願います。
おわりに
何とかスペクトログラムを作成することができました。
次はリアルタイムに描画するスペクトルアナライザとか作ってみたいですね。
勉強します。